熱中症と『withコロナ』
2020/07/24
熱中症とは
熱中症
・体温を平熱に保つために汗をかき、体内の水分や塩分(ナトリウムなど)の減少や血液の 流れが滞るなどして、体温が上昇して重要な臓器が高温にさらされたりすることにより発 症する障害の総称。
高温環境下に長期間いたとき、あるいはいた後の体調不良はすべ て熱中症の可能性があります。
・死に至る可能性のある病態。
・予防法を知って、それを実践することで、完全に防ぐことができる。
・応急処置を知っていれば、重症化を回避し後遺症を軽減できる。
人は環境によって体温が変動するカエルや魚などの変温動物とは違って、37℃前後の狭い範囲に体の温度 を調節している恒温動物です。
体内では生命を維持するために多くの営みがなされていますが、そのような代 謝や酵素の働きからみて、この温度が最適の活動条件なのです。
私たちの体では、運動や体の営みによって常に熱が産生されるので、暑熱環境下でも、異常な体温上昇を抑え るための、効率的な体温調節機構も備わっています。
暑い時には、自律神経を介して末梢血管が拡張します。そのため皮膚に多くの血液が分布し、外気への放熱 により体温低下を図ることができます。
また汗をたくさんかけば、「汗の蒸発」に伴って熱が奪われる(気化熱)ことから体温の低下に役立ちます。汗 は体にある水分を原料にして皮膚の表面に分泌されます。このメカニズムも自律神経の働きによります。
このように私たちの体内で本来必要な重要臓器への血流が皮膚表面へ移動し、また大量に汗をかくことで体 から水分や塩分(ナトリウムなど)が失われるなどの脱水状態に対して、体が適切に対処できなければ、筋肉の こむら返りや失神(いわゆる脳貧血:脳への血流が一時的に滞る現象)を起こします。そして、熱の産生と熱の 放散とのバランスが崩れてしまえば、体温が急激に上昇します。このような状態が熱中症です。
熱中症は死に至る恐れのある病態ですが、適切な予防法を知っていれば防ぐことができます。また、適切な 応急処置により重症化を回避し後遺症を軽減することもできます。
どのように起きるのか
体内に溜まった熱を体外に逃す 方法(熱放散)には、皮膚の表面から 直接熱を外気に逃がす放射や液体 や固体に移す伝導、風によってその 効率を上げる対流等があります。
しかし、外気温が高くなると熱を 逃しにくくなります。汗は蒸発する 時に体から熱を奪います。高温時は 熱放散が小さくなり、主に汗の蒸発 による気化熱が体温を下げる働き をしています。汗をかくと水分や塩 分が体外に出てしまうために、体内 の水分塩分が不足し、血液の流れが 悪くなるので、適切な水分・塩分の補給が重要になってきます。
体から水分が減少すると、筋肉や脳、肝臓、腎臓等に十分血液がいきわたらないため、筋肉がこむら返りを起 こしたり、意識がボーっとして意識を失ったり、肝臓や腎臓の機能に障害が起きたりします。また、熱 ( 高温 ) そのものも各臓器の働きを悪化させます。
さらに知っておきたいことは、心臓疾患、糖尿病、精神神経疾患、広範囲の皮膚疾患等も「体温調節が下手に なっている」状態であるということです。心臓疾患や高血圧等で投与される薬剤や飲酒も自律神経に影響した り、脱水を招いたりしますから要注意です。
病態からみた熱中症
熱失神[heat syncope]
暑いところで体温が上昇すると、放熱のために皮膚血管を拡張して皮 膚への血流量を増やし皮膚温を上昇させます。立ったままの姿勢を持続していると血液が下肢にたまり、脳へ の血流が減少するため、一過性の意識消失(失神発作)をおこします。
熱けいれん[heat cramps]
暑いところでたくさん汗をかいた時には水分だけでなく電解質も喪失しますので、真水や塩分濃度の 低い飲料を補給すると、血液中の塩分濃度が低下し痛みを伴う筋肉のけいれんが起きます。 脱水が進むと尿量が少なく、尿の色が濃くなります
熱疲労[heat exhaustion]
血液が皮膚表面に貯留することに加えて、仕事や運動のために筋肉への血液の供給が増え、心臓に戻 る血液が少なくなり、心拍出量の減少で循環血液量が減少し、重要臓器(脳等)および内臓への血流が減少]する ことにより、めまい、頭痛、吐き気等の全身性の症状をともなうことがあります。これが、高度の脱水と循環不全により生じるです。体温は正常もしくは少し上昇しますが、40℃を超えること はありません。軽度の錯乱等がみられることはありますが、昏睡等の高度な意識障害はみられません。
熱射 病[heat stroke]
熱疲労が中核的病態ですが、脱水と循環不全がさらに増悪すると、発汗と皮膚血管拡張ができなくなり、体 温が過度(40℃以上)に上昇し、脳を含む重要臓器の機能に障害が起き、体温調節不全、意識障害に至ります。
この場合、意識障害は診断に重要で、重症の昏睡だけではなく、応答が鈍い(自 分の名前が言えない等)、何となく言動がおかしい、日時や場所がわからない等の軽いものもあるので注意が 必要です。一旦、熱射病を発症すると、迅速適切な救急救命処置を行っても救命できないことがあるため、熱疲 労から熱射病への進展を予防することが重要です。
どのくらい起こっているのか
記録的な猛暑だった2010年は熱中症による死亡者が最も多く1,745人でした。
熱中症は日常生活、運動中、作業中等様々な場面において発生しています が、年齢別に見ると中高校生では運動中、成年では作業中、高齢者では住宅で多く発生しています。
暑さ指数
熱中症を引き起こす条件として「環境」は重要ですが、我が国の夏のように蒸し暑い状態では、気温だけでは 暑さは評価できません。熱中症に関連する、気温、湿度、日射・ ふくしゃ 輻射、風の要素を積極的に取り入れた指標とし て、暑さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature:湿球黒球温度)があり、特に 高温環境の指標として労 働や運動時の予防措置に用いられています。
暑さ指数を用いた指針としては、日本体育協会による「熱中症予防運動指針」、日本生気象学会による「日常生 活における熱中症予防指針」があり、暑さ指数に応じて注意事項が示されています。
日本におい ては、気温や湿度等は気象庁が観測を行っており、これらの指針の策定にあたっても、気象庁の観測データが利 用されました。このことから暑さ指数は、気象庁観測要素を用いて計算され、夏期には、全国約840地点の暑さ 指数の実況値や予測値が「環境省熱中症予防情報サイト」(http://www.wbgt.env.go.jp/)で公開されています。
対策のポイント
● 夏期の気温・湿度が高い中でマスクを着用すると、熱中症のリスクが高くなるおそれがあり ます。このため、屋外で人と十分な距離(少なくとも2m以上)が確保できる場合には、、熱中 症のリスクを考慮しマスクをはずすようにしましょう。
● マスクを着用している場合には、強い負荷の作業や運動は避け、のどが渇いていなくてもこ まめに水分補給を心掛けるようにしましょう。また、周囲の人との距離を十分にとれる場所 で、適宜、マスクをはずして休憩することも必要です。
● 新型コロナウイルス感染症を予防するためには冷房時でも換気扇や窓開放によって換気を 確保する必要があります。この場合、室内温度が高くなるので、熱中症予防のためにエアコン の温度設定をこまめに調整しましょう。
● 日頃の体温測定、健康チェックは、新型コロナウイルス感染症だけでなく、熱中症を予防す る上でも有効です。体調が悪いと感じた時は、無理せず自宅で静養するようにしましょう。
● 3密(密集、密接、密閉)を避けつつも、熱中症になりやすい高齢者、子どもへの目配り声掛けをしましょう。
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